植樹の輪

深いきずな 大地に願い*隣家と友情の植樹*中富良野の中島さん 2007/05/26
見晴らしのいいペンションのわきに2組の家族総出で苗木を植える中島さん(右端)ら

  【富良野、中富良野】希望者に桜の苗木を提供する「北海道千本桜運動」で、今年は富良野地方で二人が五本ずつ配布を受けた。中富良野町のペンション経営中島博史さん(36)は「中富良野に移り住んで生まれた友情の証しに」と隣の農家と一緒に植樹。富良野市の主婦松本ひとみさん(38)は亡くした家族の思い出をしのびながら自宅の庭に桜を植えた。(森川潔)

  千本桜運動は北海道新聞社などが主催。緑の大切さを伝え、道内に桜の名所を増やそうと毎年、団体や個人にエゾヤマザクラの苗木をプレゼントしている。贈呈した苗木は昨年までの十年間で一万一千本を超えた。今年は全道から二百八十七件の応募があり、団体二十二組と個人二十二人に計千六十八本を贈った。

  中島さんは茨城県出身。富良野地方でペンションを開くのが夢で、札幌などで働きながら場所を探し、十勝岳連峰を一望できる中富良野町西中地区に「四季の宿KI・ZU・NA(きずな)」を五年前に開業した。

  引っ越して親しくなったのが隣でメロンやビートを栽培している農家の中野和春さん(40)。家族ぐるみでつきあい、ペンションでは中野さんの畑で採れた新鮮な野菜を提供。農繁期には中島さんが農作業を手伝う。「援農や雪はねにも来てくれて、とても助かっていますよ」と中野さん。

  今回は中野さんとの友情を記念して千本桜に応募。届いた苗木は両家の家族総出でペンションわきなどに植えた。「将来は桜の花見ができるようなデッキも近くに作りたい」と中島さん。

庭に植えた苗木を娘と見上げる松本さん

  *母、長男しのび*松本さん*自宅の庭に*富良野

  松本さんは一昨年、母の百合子さんと七歳の長男安斗君を相次いで亡くした。母がかわいがっていた愛犬のサブも後を追うように亡くなった。「翌年、庭にあった四本の桜のうちの三本が、なぜか枯れてしまったんです」と松本さん。

  今年、長女の花梨(かりん)ちゃん(6つ)が安斗君と同じ小学校に入学したのを機に、もう一度庭に桜を増やそうと千本桜に応募した。届いた苗木は夫の安定さん(42)や花梨ちゃんと市内緑町の自宅の庭に植樹。「亡くなった家族や犬の分まで、桜が元気に育ってほしい」と期待をかけている。




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